【初心者向け】TC1000走行ガイド〜まずは安全なラインでコースに慣れよう〜

  • はじめに
  • セクション1:ホームストレート〜第1・第2コーナー
  • セクション2:第2コーナー~ヘアピン〜インフィールド前
  • セクション3:インフィールド
  • セクション4:洗濯板~最終コーナー
  • ちょっとしたアドバイス:「怖い」は悪くない
  • おわりに

はじめに

筑波サーキットコース1000(TC1000)は、コンパクトながら加減速の基本、荷重移動、複合コーナーの処理など、スポーツドライビングの基礎がすべて詰まったコースです。 見通しも良く、落ち着いて走れば、かなり安全に走ることができるサーキットの一つです。

この記事では、TC1000を走るうえでのベースとなる、初心者・中級者が知っておくと良い走行ラインと、各コーナーでの具体的なペダル・ステアリング操作のポイントを解説します。

前提として、一つ覚えておいてほしいことがあります。TC1000はとても親切なので、「クリッピングポイント」となる場所には「ゼブラ(縁石)」があります。これから「クリップをとる」というキーワードがいくつか出ますが、そこには必ずゼブラがありますので、目印にしてください。

セクション1:ホームストレート〜第1・第2コーナー

「止めるためのしっかりブレーキ」と「曲げるためのパーシャルブレーキ」を使い分ける

  • ホームストレート第1コーナー: ホームストレートエンドで「しっかり止めるブレーキ」。まずは、自分が確実に止まれるように、ちょっと自分が思うよりも手前でブレーキ踏んでみましょう。奥に詰めていくのは慣れてから。しっかり「止めるブレーキ」である程度減速したら、ブレーキを抜きながらパーシャルにし、ステアリングを切っていきます。車速は落としすぎないように、イン側のクリップをとりにいきましょう。ゼブラには「乗らないでください」。車体が不安定になって危くなる可能性があります。
  • 第1コーナー: パーシャルブレーキ(ブレーキを抜きながら)進入し、第1コーナーと第2コーナーのちょうど中間あたりでブレーキを終えることを意識してみてください。(実際は怖いので、もっと早くブレーキは終わると思います)第1コーナーと第2コーナーの中間あたりに差し掛かった時、車はちょうどコースの真ん中よりちょっと左に居るくらいが正解です。第1コーナーとそれに続く右コーナーを「大きな1つのコーナー」として捉えると走りやすいです。

余談[ブレーキを抜く]:私は、強いブレーキ→パーシャルブレーキに変えることを「ブレーキを抜く」という表現をします。いわゆる一般的な「ブレーキを残す」という表現と言っていることは同じだと思います。ただ、残す、より「抜きながら曲げる」方が事実に近いと考え、このような表現を使っています。

セクション2:第2コーナー~ヘアピン〜インフィールド前

「ブレーキを抜きながらステアリングを切る」のと「我慢」が大事

  • 第2コーナーへ: 中間地点から加速し、第2コーナーもしっかりクリップをとります。が、こちらもゼブラには「乗らないでください」。加速中にイン側タイヤのグリップが変化し、挙動が乱れると危ないので。
  • ヘアピンへ:ヘアピンまではしっかりと加速しましょう。できるだけ左側まで寄るのが良いですが、慣れて車速があがってきたところで左側のゼブラに乗ってしまうと挙動が乱れる可能性がありますので、しっかりアスファルト上のできるだけ左側を意識して、ヘアピンに向かいましょう。
  • ヘアピン進入: 直線的なアプローチから「しっかり止めるブレーキ」をし、車速を落とし、そこからブレーキを抜きながらステアリングをインに向けて切りましょう。理想はイン側クリップのゼブラに乗るくらいインに寄せること、ですが、まずは意識するだけで大丈夫です。自分の思ったラインに乗れるように、気持ち早めのブレーキからスタートしてみてください。
  • 立ち上がり: 「車の向きが変わったらしっかり加速し、右側のポイントを目指しましょう」。メリハリがタイムに直結します。特にこのコーナーはコースで最も車速が落ちるポイントなので、曲がるスピードもゆっくり。つまり、車の向きが変わるのもゆっくりですので、我慢できずに踏みたくなると思います。がここはしっかり我慢して、車の向きが出口に向いてから加速、を心がけましょう。変わってないうちにステアリングだけ内側に切ってアクセル踏むと「アンダーステア」でいつまでも車が曲がりません。

余談[クーリングラップの大切さ]:しっかり止めるブレーキ(強いブレーキ)は、ブレーキの負荷も高いです。何周も繰り返すとヴェーパーロックやフェードを起こしてしまいますので、2周くらい全力ブレーキしたら、1~2周は車と脳を冷やす「クーリングラップ」を入れるつもりで走ってみてください。初心者が少し慣れてくると「猿走り(何周も全開走行すること)」しがちですが、車や自分への負担は思った以上に大きいので、落ち着いて、1周走ったら2周休むくらいの気持ちで、リラックスして走ることが上達への近道です。

セクション3:インフィールド

TC1000で最もドライバーを悩ませる変化球コーナー

  • 右側のポイントからインフィールド進入: まずは、少し外側から軽くブレーキして、車をインに向けましょう。この走行ラインは、出口で早めに車を立ち上がり方向に向けるための「立ち上がり重視ライン」です。外側からアプローチすればするほど、脱出は楽になります。(ただし、余談も読んでみてください)
  • できるだけコンパクトに、脱出: このコーナーは奥も広く、どこを走っていいか悩みやすいですが、シンプルにイン側を走ってみましょう。車速も高くないポイントなので、怖くなく、色々なラインを選べると思います。なお、脱出側の右コーナークリップにゼブラがありますが、「ここは多少踏んでインカットするくらいに、脱出方向に車両の向きを変えられると次のコーナーまでがしっかりアクセルを踏めるので、結果的に速い(タイムにつながりやすいポイント)です。
  • 逆バンクの右側:ここもちょっと悩ましいポイントですが、左側インをクリップとったあと、しっかり加速しながらできるだけコースを幅広に使いましょう。TC1000の場合、インフィールド脱出後、加速しながら右に寄せていくと、思った以上に逆バンクとなっていて、びっくりするかもしれません。セオリーのアドバイスとしては右端まで使う、ですが、ここはまず、走行ラインを意識するよりも、脱出時に車両の向きを早く変えられているか、これが重要です。

余談[難しく考えず、シンプルに]:インフィールドは、多くのドライバーが「どこを走っていいか分からない」と悩むコーナーです。主催のむさし屋も長く悩みました。が、タイヤのグリップも上がった現在においては、「シンプルにインを走る」がトレンドです。車速の高くないコーナーであるがゆえに、あまり遠回り(例えばインーアウトーインで、インフィールドの奥まで使う)しても走行距離が長いのに車速が高くない(遅い)の、タイムをかなり損してしまいます。悩んだら、インーインーインでシンプルに短い距離で走ってみましょう。案外速いです。ある程度走ってみてからラインを変えると、タイムの違いが分かりやすく、自分の車両に合ったラインが見えてくるはずです。

セクション4:洗濯板~最終コーナー

一番クラッシュの多い洗濯板の奥、失敗しない走り方を伝授します

  • 左高速コーナー: インフィールドからの立ち上がり。短い区間ではありますが、しっかり加速すると、スピード以上に速く感じるポイントです。この後は複合コーナーですが、最初のアプローチが大事。左コーナーへの進入は、イン側に早く寄りすぎず、できるだけ「気持ち奥から左に入っていく」ラインをとります。こうすることによって、次の右コーナー…通称「洗濯板」に向けての短い直線を「直線」としてとらえることができ、洗濯板を安全に通過できるようになるからです。これを逆に、インフィールド脱出後、早めに左に寄ってしまうと、左コーナー→右コーナーが連続したシケインとなり、「左⇒右に切り替えようとしたときにブレーキorアクセルをオフして荷重が抜け、左にイン巻き(スピン)してクラッシュ」or「左⇒右に切り替えようとしたときに、右への切り替えを失敗して右にイン巻きしてクラッシュ」してしまうのです。長くなりましたが、できるだけ奥からアプローチ、大事です。
  • 洗濯板手前~洗濯板:気持ち奥から入ったことで、洗濯板右コーナーまで、一旦ステアリングをまっすぐにして直線的にブレーキすることが可能になります。急に強いブレーキするを車の挙動も安定しませんので、最初は丁寧に、直線でブレーキを終わらせてから洗濯板に進入しましょう。こうすることで、車は左右にスピンすることなく、まっすぐ安定して止まります。洗濯板手前で一旦ブレーキを終えるくらいで良いです。そして、洗濯板右コーナーにアプローチしましょう。洗濯板は、結構ガタガタなので「乗って大丈夫かな?」と思いがちですが、「ブレーキを強く踏んでいない状態であれば、ちょっと乗っていい」です。乗りすぎると車にダメージあるので気をつけましょう。イメージは右タイヤ1本分くらいですね。なお、「ブレーキを強く踏んだ状態」…つまり、車を止めよう!と思ってブレーキを踏んだまま洗濯板に乗ると、衝撃は結構強いため、車へのダメージ(アライメントが狂ったりとか)が蓄積されてしまうので、本当に最初のほうは乗らない、少し慣れてきてブレーキのイメージとかできてきたら、タイムアップのために少し乗る、という順にステップアップしてみると良いと思います。
  • 最終コーナー入口: ここがTC1000の肝です。しかしながらここもインフィールドと同じで「どこを走っていいか分からない」というドライバー泣かせのコーナーです(でも、そういうポイントがあるから差が出て面白いわけですが)。洗濯板を脱出してから、基本的には、加速→減速→加速、という走り方をイメージしましょう。まずは、洗濯板脱出時の右ステアリングを切っている状態から、ちょっと加速してコースの奥を目指しましょう。これは、最終右コーナーへのアプローチ(角度)を大きくして、できるだけまっすぐ立ち上がれるようにするためです。逆にすぐ右に切って小さく曲がろうとすると、最終コーナーがきつくなって、ホームストレートで全然加速できません。コースの奥のほうまで向かったら一旦パーシャルブレーキングで減速しつつ、車の向きを右に変えていきます。
  • 最終コーナー出口: 最終コーナー入口のアプローチの答え合わせです。しっかり奥まで車を移動できている&車の向きを変えられていれば、最終コーナーイン側のクリップに向けて、しっかり加速していきましょう。ここでのイン側のゼブラは「絶対に踏まないでください」。右に切った状態で加速している、つまりとても不安定な状態なので、ここでゼブラを踏むと、結構な確率でスピンしてクルクル回ります。…クルクル回ればまだよくて、お尻が出てカウンターあてるのに失敗して、タコ踊り(右→左→右…のようにハーフスピンを繰り返すこと)して、そのままホームストレート左にクラッシュ…なんてことも。これは本当に最悪で、このクラッシュはダメージが大きいので、タコ踊りするなら素直にスピンしたほうが安全です。「ゼブラは踏まない」「もし踏んでスピンしかけたら素直に全力ブレーキ+スピンして止まる」を覚えておいてください。とはいえ、できるだけ奥まで車を持っていくアプローチしてから、イン側クリップをとって加速するのが一番ホームストレートを速く駆け抜けられます。ここはテクニックです。まずは、そうなったらいいな、と思いつつ、自分の安全な範囲で、丁寧に走ってみましょう。

余談[なぜ最終コーナーが肝なのか]:それは「TC1000で一番スピードが出るホームストレートへの最終アプローチだから」。低速の区間はどんなに頑張ってもタイムはあまり変わらなかったりします。が、「高速ストレートで距離があれば、そこへの加速で最終到達速度は全く別物になる」からです。

ちょっとしたアドバイス:「怖い」は悪くない

  • サーキットって、怖いイメージありますよね。僕もドキドキしてましたし、時間が空くと今でも僕もコースインするまでちょっとドキドキします。過度に怖がることはありませんが、ドキドキして心拍数が多少上がるのは、緊張感がある証拠なのでこれは良いと思います。ただ、その緊張感を上手くコントロールするために、コースイン前には早めにヘルメットをかぶり、シートに座り、心拍数を落ち着けるようにしましょう。そして、サーキット自体は、基本的には一般道より安全です。なぜなら誰も飛び出してこないし、みんな同じ方向に走っているからです。あとは、一般道と同じように、とんでもなく速い車は勝手に抜いていく、速い車に気づいたら、安全な場所で譲る、丁寧に走る。これで大丈夫です。
  • いくつかのコーナリングのアプローチで「怖い」と感じたなら。それは、本能的に自分の能力を超える場所だと理解しているからなので、「怖い」ところは無理をしないでください。そして、出来れば走り終わったあとでいいので、「なぜ怖い」のかを考えてみてください。そうすると、次はその「怖い」を「怖くない」に変える走りができるかもしれません。僕らのように多くの走行をしている人たちは、きっとそれぞれ、「怖くない」「こう走ったら安全だ」という領域を大きくしながら、タイムアップを目指しているのだと思います。
  • もし、「怖い」理由が自分で想像つかなければ、のーりみ主催、むさし屋までお気軽にご相談ください。chatGPT…チャッピーやGeminiに相談しても分からない、「現場の怖い」を克服するサポート、出来ると思います。

おわりに

いかがでしたか?これから初めてTC1000を走る、もしくは、TC1000走ってみたけどよくわからない、そんな方向けにできるだけベーシックで、かつ、それをやるだけでタイムアップできる、実践的なラインどりを書いてみました。もちろん、走り方やアドバイスは千差万別、あのプロはこう言った、という話はあると思いますし、上級者向けや、更にタイムを削りたい人、はたまた車種によっても、微妙に走り方は異なります。

ただ、基本的にはこの走り方をまずはやってみて、自分の苦手なところ、上手くできたところ、怖いところ。それらを工夫し、タイムにつなげていくことが、サーキット走行の醍醐味だと思います。

TC1000の攻略は「どこで踏むか」以上に「どこでブレーキを終わらせて、どう車の向きを変えるか」のほうが、大事です。まずは図の青線(減速)と赤線(加速)の切り替えポイントを意識し、反復練習をすることがスキルアップへの近道です。

TC1000で反復練習なんてできないよ~…と、そんな嘆きが聞こえてきそうですが、のーりみ練習走行会は「反復練習」できるんです。3.5時間を少人数で貸し切って走り放題。何度もコーナリング練習ができる一風変わった走行会なので、是非下のボタンをクリックして、のーりみ練習走行会内容もチェック頂ければ幸いです。

それでは、壊さず楽しいサーキット走行ライフを!